280!! //シュットとデューク
ひらがなと エンドロールと 子猫の鳴き声 『しゅくだいしゅくだい』
ペン先で綴る彼女の言葉はいつもひらがなで
あちこち歪んだその文字はとてもらくに読める物なんかじゃなくて
「どいてくれよ、何で俺の膝の中でやるんだよ、それ」
ちょこんと俺の膝の中に収まる彼女の髪に顔をうずめながら俺は彼女の気持ちが少しずつ書きしるされていくのを見ていた
いい匂いのする小さな彼女の髪の毛は、俺が首を揺らすたびにくすぐったそうにゆらゆら揺れる
見ていた映画はちょうど終わってエンドロールの流れるままになっていたから、俺は彼女の指先へと漸く視線を落としてみた
『しゅくだい もじを かく こと きれいに かく こと』
ばらばらのひらがながぎりぎり文章として読めるか読めないかのところをフラフラしていた
それでも俺の膝の中でデュークは屈託のない笑顔を浮かべたままいつものようにごろごろと喉を鳴らすから、
俺はただ甘えん坊の子猫にそっと口付けを落としてやる
「いいよ、汚くったって」
俺はお前の気持ちさえ分かれば、それこそ文字だって必要ねェんだ
この台詞の意味を幼い彼女が理解したかどうかなんて俺には分からなかったけれど、
なんとなく嬉しそうなデュークフリードが小さく鳴いた、そのにゃーおを、今日も勝手に肯定と受け取ることにして
むしろこの字が汚いままの方がいいかも知れねェ、俺は映画を見続けた脱力感の中、溶けた頭でぼんやり思った