「堂々と遅れて何言ってんです?言い訳は見苦しいっスよ」
ピシャリと言い放った俺の言葉にハチルさんはうっと声を詰まらせた
明らかに動揺して視線を泳がせる彼にどうしてこいつはこんなにバカなんだろうと俺がため息までついて見せたから、
そ、そんなに怒んなくたっていいじゃねェかよ、!!ハチルさんはもごもごと口ごもりながら、それでも不機嫌な子供のように顔を膨らませた
「ハチルさん、アンタ、分かってんスか?誕生日っスよ誕生日、年に、一回の、!!」
「分かってるよ、それぐらい!!」
「いいや分かってないね、それがどれだけ大事な日なのか、アンタには判ってないね!!!」
「え、ちょ、言い切られた!!!」
頭を振って嘆いてみせればハチルさんはしどろもどろになりながらも言い訳がましい言葉を吐くから、
俺はうんざりするようなハチルさんの言葉を聞いたそばから切り捨てて
ハチルさんがまだその顔に戸惑いを残したまま視線を泳がせる、
あぁ、全く、この男は何もわかっちゃいねェ、!!!!
「だ、だって俺だってツユキのとこに行きたかったよ!!でも昨日はクインが…」
「クイン!!?女王といたんスか!?情けねェ!!!!」
「なさけない!?」
思わず俺の口から飛び出した言葉にハチルさんはぎょっとした様子で目を見張った
だってそうでしょうハチルさん、可愛い恋人の誕生日に他の女と寝てるだなんて最悪じゃアないっスか…!!
呆れ交じりにそう呟いた言葉はハチルさんをみるからにヘコませる
うつむき加減でしおしおとため息をつくハチルさん、ため息つきたいのはこっちっスよ
あの子があの夜どんだけアンタを待ってたかぐらい容易に想像つくだろうに
「ハチルさんってつくづくダメな男っスね…」
呟いた言葉はハチルさんの胸に突き刺さる、
でもこうでも言わなきゃこの男はきっとわかんねェだろうからこれでいいんだ
本日何度目か分からないため息をついて、俺はハチルさんの顔を思い切り殴りつけてやりたい気持ちに駆られながらも、
今もこいつを待ってるだろう小さな恋人の為に、その拳を乱暴にポケットに突っ込んだ
きみの言い訳を殺傷
ツユキくんのお誕生日にハチコが遅れたら転が叱ってくれるだろうなという妄想
なんだかんだいいつつ転はハチコとは親友みたいなものだから、きっと言いたいことずばずば言っちゃってツユキくんの気持ちを分かってくれるだろうなァ、とか!