暗くなった世界にポツンと一件明かりの灯る場所
ばいばい、!と叫ぶ子どもに笑顔で手を振って応えれば、彼はきらりと笑顔を浮かべてからブォンと音をたてていなくなった
振っていた手を止めて、彼はその笑顔を張りつけたままにふう、と一つため息をつく
店の中にかかった柱時計に目をやって、ちょこんとDaddyは首をかしげた
「そろそろかな」
被っていた帽子をとってくるくるとまわしながら、Daddyは満足そうに微笑んだ
部屋の中に乱雑した帽子の山を掻き分けて、彼はお目当ての帽子を探し出す
小さな赤いその帽子に、彼が小さく息を吹き込んでひっくり返すと
ふわり、小さな白いものが落っこちた
それは冷たくて、床に落ちてしまう前に暖かい店の空気に静かに溶けて
赤い帽子からは次々に白い結晶が現れては消えて行く
「鯉壱たちはもう行ったかなァ」
誰にともなくつぶやいた彼は、白を静かに吐きだし続ける帽子を持ったまま月の綺麗な夜を見上げた
静けさと闇に包まれた空がどこまでも黒いおかげで、降り積もる白は余計綺麗に夜空を彩り、
Daddyは小さく微笑んで、いつのまにか降りはじめた雪の白い結晶がふわり、ふわり、揺れるのを眺めていた