忍者ブログ
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。



2026/06/22(Mon)
ADMIN


眺めた景色は灰色がかっていた
きらきらと光るイルミネーションで街は鮮やかに見えるだけで
スクランブル交差点を人の波が行き交う様は
ちょうどぞろぞろと進む蟻の行列を掻きまわしたような、そんなパニックに似た奇妙な焦燥感を呼び起こす

握りしめた携帯電話の画面に光るメール、着信時間を示す数字は17:54
駅のロータリーの中央に立つ時計台の針は、待ち合わせの時間をとっくに過ぎていた
人込みの中、突っ立って暇を持て余している男女は数知れず
それでも一人、また一人とくっついては、笑顔を見せて手を取り合って去っていく

暗くなった街を縫うように走る風は彼女の素足には冷たすぎて、
ちくしょう、こんなことならタイツを履いてくればよかった、
いつもより少しだけ短いスカートを、エマージェンシープログラムは引っ張った
一つため息をつくたびに、冷たい風が彼女を冷やす
それでもエマージェンシープログラムは冷え切った指先でまた携帯を開いた

何度も確認しているうちに覚えてしまったけれど、見ずにはいられない文字

『ごめん、ちょっと遅れる』

ちょっと?
どこがちょっとなんだ

メールが届いてから、もう20分は過ぎている
イライラと携帯を閉じて、両手を少しでも暖めようと裾を引っ張ってみても
吐いた息は暖かかったけれど、すぐに冷たい風が彼女の微かな熱さえも奪っていって
エマの小さな舌打ちも、すぐに街の雑踏にかき消された
 



2010/11/17(Wed)
ADMIN