「よぉエマージェンシープログラム」
へらりとそいつは笑顔で言った。
「元気?」
頭に血が上る。この男の胸糞悪い笑顔を見ていると吐き気がしてくる。最悪だ
なにも理解しちゃいない。この状況を、自分の立場も。もちろん、この俺の立場も
俺はつかつかとその馬鹿男によって行って、そのまま襟首をおもいきりつかんだ
がちゃり、と乱暴な金属音がフリッカの手にはまった手錠から重々しく響く
怒りを浮かべた俺の顔を見、それでも目の前の男は余計楽しそうに口角を持ち上げた
「元気そうだな」
俺は思わず手を上げた。ばちん、と音を立てて俺の平手打ちがフリッカロッタを呻かせる。
思い切りたたいたせいで俺の右手はじりじりとしびれ、
それでもフリッカは全く応えていない様子でうすら笑いを浮かべた
吊り上がった口のはじからは赤い血の筋が一本通っている
「痛ってェー…もう少し優しくしてくれたっていいんじゃない?」
俺は爪が手のひらに食い込むほど強くこぶしを握った。
判ってない。判ってないんだこの男は。これっぽちも。
俺は泣き出しそうな気持ちをこらえて無理に心を消す。
無表情の俺にフリッカはお見通しとでもいう用にくつくつと笑った
「フリッカロッタ、貴様、ずいぶんと余裕だな」
「エマが余裕ないだけでしょーが…俺にあたるなんて職権乱用はやめて欲しいね」
「黙れ」
「いーじゃねぇかもうすぐ嫌でもしゃべれなくなっちまうんだ。最後のおしゃべりだろ、これって?」
へらりと言って見せるフリッカに俺は硬直した。
うるさい。うるさいうるさい。貴様が最後に楽しむ時間じゃない。これは、貴様が最後に懺悔する時間だ。
言いたくても声が出ない、口が開かない、胸の奥がつっかえて、うまく言葉にできない。
ちくしょう、ちくしょう何で、何で俺がこんな思いをしなくちゃならねェんだ、
ただ、ただずっと追い続けてきた屑データが、又一つ、消えるだけじゃないか。
悔しくてたまらない。こんな男のために、何で俺が苦しまなくちゃいけねェんだ
「…なーに泣いてんだよエマ」
「………、ないてなんかいねェよ、」
「お前が泣いちゃあまずいんじゃねェの?ユーザーを苦しめたデバックデータをやっと削除できるんだからよ、おまえほんとは喜ばなきゃいけねぇだろ、な?」
まるで他人事のようにフリッカは言う、
本当に馬鹿な男、その削除されるデバックデータが自分だと分かっていて涙も出さない
そんな男のために俺が何で泣かなきゃいけねェ。
分かっていてもあふれ出る涙が止まらなかった、だって俺は、俺が本当にしなきゃいけないことは、
「、…っ、貴様が、死んで、っ、せいせいするわ!、俺は、俺は本当は、!!」
そこまで言って、フリッカの笑顔がやっとゆるりとほどけた。
そっと俺の頬に触れる彼の手は、大きくて、大きくて、とても俺一人の手には負えなくて、
「エマ」
涙をぬぐうその指も、俺に投げかけられるその声も、
本当はいつまでも追いかけ続けなきゃいけないものなんだから、
「泣くなよ、エマ」
お前が止まっちまったら、お前がいなくなっちまったら、俺は何を追いかければいい
「…っく…しぬ、なよ…!」
「……………………………」
「…死なないでよ、ぉ…フリッカぁ…!!」
息も絶え絶えに告げてみればフリッカは苦しそうに顔をゆがめた
それでもがばりと俺を包んでくれるその体は、まだあったかくて、いつものぬくもりのまま、
ただ両腕に手錠は掛かっていたけれど、俺はおかましなしにその広い背中にしがみついて、
ちくしょう何で俺がこんな屑データのために泣かなくちゃならねェんだ、
俺はいつまでもその答えが判らないでただ子供のようにみっともなく泣き続けていた
さよなら愛しのカーディナル
すきなの だいすきだったの ほんとうは
サーバーメンテナンスでとっつかまったらフリッカは速攻でデリートされます 処刑前にあの子とおしゃべりしてもいいよ!な時間とか。
エマはやっぱりフリッカが好きなのでいざ殺されますって言われるとわあわあ泣き出します だっておんなのこだもん!