インペリアルスウィート
軋俐さん宅ツユキくん誕生祭 ハチコとツユキくんちゅうしてますBLです爆笑
がさり、と音を立てて箱に入れられたそれはふらふらとキッチンにやってきた鯉壱にとってはただの可愛い箱で、蜂散がいることも忘れて鯉壱はわっとその箱に駆け寄った。
わぁ、と感嘆の声を漏らす鯉壱に蜂散は小さく笑って彼の頭を撫でる。
「これはダメだぞ鯉壱ちゃん、お前のは冷蔵庫の中だ」
「ほんと?ありがとうハチコ」
ぱあっと目を輝かせ、一目散に冷蔵庫の扉に走る鯉壱の後ろ姿を確認してから、
蜂散は脱いでいたジャケットをばさりと羽織って時計を見上げた。
まだはやい、
判ってはいるのだけれど、やっぱりあいつには早く届けてあげたくて。
でもザッハトルテはしばらく寝かせた方が美味しいんだよね、しばらく顎に手を当てて考えていた蜂散に、
もう早速口をもぐもぐさせていた鯉壱がぽつりと言った、
「今日は雨が降るよ」
「ん、?」
今日は雨が降るんだ。
にこりと繰り返す鯉壱、蜂散は首をかしげてカーテンを開けてみたが、空には雲の一つもない。
広がるのはただただ気持ちいいぐらいの、晴天。
「雨なんか降らねェよ鯉壱。はは~ん、さては俺がお出かけするのが嫌なんだな?一人じゃさみしいんだろ、大丈夫だって俺はいつも鯉壱ちゃんのこと想ってるんだぜ?」
「雨、降るよ。だから届けてあげるつもりなら、早めに行った方がいいと思うよ」
その可愛いラッピングが濡れちゃう前にね
突然わけのわからないことを言い出す鯉壱に親しみをこめてがばりと抱きつこうとすれば、
それも小さな体でするりとよけられて、ちくしょう鯉壱ちゃん俺から逃げるのだけは誰よりもうまいんだから、
そう思いながら彼の背に手を伸ばしかけて、止めた。
「届ける、って何で判ったの」
「ツユキくんのところに行くんでしょう?ちらちら時計見て、そわそわして、にやにや笑ってるハチコが考えてることなんてお見通しだよ」
「…鯉壱ちゃん、そこまで俺のこと…!(きゅん!)」
「うんたぶんだれでもわかるとおもうけどね」
ぶっ飛んだ勘違いからの嬉し泣きなのか鯉壱の言葉に隠れた刺からの哀しさなのか
とにかく半泣きの蜂散の手のなかに鯉壱はすとんとその問題の箱を入れて、
それから目をこする蜂散のまえでカーテンを開けて見せた、
「ほらね、雨降ってる」
蜂散が顔を上げれば窓の向こうは、それは綺麗な通り雨。
青空から落ちるしずくに太陽の光が反射して、蜂散はまぶしそうに目を細める。
あたったでしょ、とばかりに笑う鯉壱に、蜂散はぽかんとしたまま首をかしげた。
なんで雨が降るって判った、なんて愚問を鯉壱に問えば、彼はケロリとした顔で
降ると思ったから。
あぁまったく鯉壱にはかなわない、そう思いながら重たい扉に手をかけた時、鯉壱が小さく笑った。
「いってらっしゃい」
一瞬こたえに迷った蜂散だったが、しばらく目をきょろきょろさせた後にちいさくあぁ、と返事をする。
彼の黄色が見えなくなって、扉のしまる音を聞いた緑露が不思議そうにラウンジから首をのぞかせた。
「蜂散サマは雨なのにお出かけですか?あの方は濡れるのが嫌いだと伺っておりますわ」
疑問符を飛ばす緑露に、
鯉壱はふっと頬を緩ませて、通り雨だから平気だと思ったみたい、と答える。
「どこかで結婚式があるのかもね」
「けっこんしき、?」
「うん、よく言うじゃない?通り雨のこと、”狐の嫁入り”って」
***
蜂散の方はと言えば、通り雨なんかすぐに上がるだろうと思っていたその予感が外れ、
予定より20分も遅れてしまって、ゲンナリしつつツユキの家までせっせと走っているところだった。
そもそも俺が傘って!俺が傘さす羽目になるなんて!
と意味の判らないところでテンションが激しく落ち込むのだが、でもこれからツユキに会えると思ったらそんなことはどうでもよかった。
できたての水たまりに足を突っ込もうが、むしろ傘を放り投げて全身びしょぬれになろうがそれは今の彼にとってはどうでもよくて、ただただあたまの中にあるのはツユキのことだけ。
早く会いたいなぁとか、俺のケーキ見たらどう思うかなぁとか、そんなくだらないことでにやけてしまえる自分が一番くだらないということは自覚済みだ。
でもでもやっぱりそういう理屈とか感情論とか関係なしにツユキには、ただ抱きついて、ぎゅってして、愛してる!って言いたくて、そしたらツユキは可愛いから顔真っ赤にしちゃうんだろうなァとか、
彼のことに関しては、妄想がとどまるところを知らなくて。
知らないうちに頬が緩んで、駆ける足も速くなって、頭はどんどんツユキに占領されていく、
あの綺麗な銀色の髪に口付けて、それから耳元でハッピーバースデーって囁いて、
真っ赤になったあいつのことぎゅーって抱きしめて、!
ばしゃんと踏み込んだ水たまりの先には綺麗な虹がかかっていた。
その向こうにうっすら見えてきたツユキの小洒落た喫茶店。
虹だーなんて喜ぶのは鯉壱ぐらいのもので、蜂散の脳内では虹より先にツユキが優先される。
はやる鼓動もきっとツユキのせいで、もうどうにかなりそうだと蜂散は思う。
手をかけた銀色のドアノブを、まわしたらツユキが迎えてくれるだろうか、
俺の為に笑ってくれるだろうか。
恥ずかしがり屋さんだから固まるかもな。
くつくつとひとり店の前で忍び笑いして、蜂散は結局closeのかかったドアを勢いよく開けた。
「ツユキー!ハッピーバースデー!!」
もちろんツユキは顔を真っ赤にして、でもそのあとゆるゆると微笑んでくれたから
蜂散はもう我慢できずに小さな銀色を捕まえて、リーシエたちが見ているその目の前で、
思い切り甘くて深いキスを、腕の中で固まったままの大好きなツユキにプレゼントした。
インペリアルスウィート
( ごくじょうのあいをきみに!)
ツユキくんロクに出てきてないけれどもツユキくん誕生日祭2弾だといいはってみる((
ハチコは愛されて幸せだと思いますあれ鯉壱とじゃべってるシーンの方が長ェじゃねェか爆笑
ということで軋俐さん宅ツユキくんをお借りしました!