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2025/01/15(Wed)
ADMIN
じめじめと暑い季節だというのに何故か自分が鳥肌を立てているのに気がついて、
ふと、横目に隣を見ると、知らないうちにヴィレッタがソファーの隣に入りこんでいた
油断ならないゴーストガールは、その冷たい頭を俺の肩にちょこんと可愛らしく、それでいて堂々と乗せていて、
俺と視線がかちあった瞬間、心底楽しそうに彼女はにっこりと笑う
「楽しそうだな」

手にしていた新聞をばさりと閉じて俺はそう呟く
ヴィレッタの手がすかさず俺の首に巻きついて、その冷たさに俺はまた無意識のうちに鳥肌を立てた
無理矢理抱きついてくる彼女の、あるんだかないんだか分からない様な曖昧な重さがぐっと俺の首にかかる

「楽しいんじゃなくて、嬉しいの」

首筋に息がかかるんじゃないかと思うほどの距離で、彼女はそれは愛らしくふふふ、と笑う
実際彼女は幽霊で、俺の首筋には彼女の吐いた息なんてものはかからなくって
嬉しい?俺が繰り返した唇にそっと白い指を当ててヴィレッタは猫なで声で囁いた

「やっとこっち向いた」

俺がまだ手にしていたままの新聞をヴィレッタは乱暴にはぎとって、
オイ、と俺が声を上げる前にくしゃくしゃになった紙きれは乱暴にばさりとテーブルの上で動かなくなる
それと同時にヴィレッタはあっという間に空いた俺の膝の上に乗り上がってきたかと思うと、
その綺麗な顔で俺を笑いながら見降ろして、その指を俺の頬に滑らせた

「こんな紙切れ、いつまで眺めてるつもりだったの?そんなのいいからアタシを見なさいよ、ダーティー」

俺の視線より少し上、ありったけの愛しさを込めて俺を見つめる彼女の瞳は、
俺がいつか昔、ありったけの愛しさを込めて見つめた淡いピンク色の瞳で

「こんなに、愛してるのに、」
「……俺なんか愛したって無駄だよヴィレッタ」

ゆっくりと頬を滑る彼女の指先が、あまりにも優しすぎて、
彼女の瞳を見つめたまま口にした声は酷く小さくて、説得力のかけらもなかった
だから彼女もくすりと小さく微笑んでみせる、どうかしらねダーティー

「いつかあなたはアタシを愛するようになるわよ」

耳打ちでもするかのようにそっと呟かれた言葉、俺はすこしだけ目を大きくした
空気に透ける長い髪、のしかかった冷たい足、俺の目に映る彼女が人ではないということを
分かっていてなお、俺は、ゆっくりと唇に落されたそのキスを拒むことができなくて、

君は俺が愛した女とはなにもかもが違うんだよ、ヴィレッタ。
言いかけた俺の言葉は彼女の冷たい唇に封じ込められて、言葉にはならない。
いくら見た目を似せたって、君は彼女たちとは違うんだ。
それでもヴィレッタが見せたにやりとした意地の悪い笑顔からは、俺をあざ笑う彼女の態度が見て取れた。
ねえダーティー、そう思いたのはわかるけど、あなたはとっくに気付いてるハズ。

一緒なのよ。何も違わない。
アタシも、あなたの大好きな「彼女たち」も、ねえみんな、死んでるんだから

滑り込んできた舌の冷たさに悪寒を感じながら、それでも俺はされるがままで。
ただ黙って目を閉じると、世界は驚くほどあっさり、暗くなった。


自縛霊に告ぐ

(きっと、ひとりぼっちはつらい)


ヴィレッタがうちの子の中で誰よりも女性らしくえろいせいであの人が男なのを忘れかけるDaddyと私(( タイトルは造語です☓自縛霊〇地縛霊




2011/08/13(Sat)
ADMIN