冷たい冬の澄んだ空気に鯉壱は吐息をつきました
ふわふわと名残惜しそうにその場に留まっていた吐息は、
少し白くなったかと思うとあっという間に星空へ消えてゆき、
鯉壱はもう一度望遠鏡の分厚いレンズを覗き込みました
黒い夜空に星明かりがちくりと彼の目を刺しました
「僕も星だったらなァ」 鯉壱は片目をつむったまま言います
「夜になったらぴかぴか光ってさ、空に」
独り言の様に呟かれたそれは、透き通った黒に吸い込まれてゆきます
「それは間違いで御座いますわ」
緑露が赤や青のぽちぽちのついたブランケットを鯉壱に手渡すと、
彼は漸くレンズから顔を離しました
それから、ちょこんと首を傾げて見せたので、緑露はこう言いました
「お星サマはお昼も光ってらっしゃいますのよ。周りがまぶしすぎて、見ることができないだけで」
鯉壱はゆるりと微笑むと、やっぱり星にはなりたくないかも、とつぶやきました
GPCの際に書いたやつでした ハガキサイズに押し込もうと削りまくったら意味が分からなくなったので歯ぎしりしながらボツにした 絵本のようなお話にしたかったんですが効果が出てるかどうかは謎 111207再掲